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Message from Program Director

物価を考慮した実質賃金が上昇に転じるか・・・

2月決算企業の決算業績の発表が続いている。上場小売企業63社の業績は、前期15%増で3年連続の2ケタ増益だった。値上げが牽引して多くの企業が良い成績であった。ただし、来期の予想数値を集計してみると、25年2月期の営業利益は前期比5%増の1兆4640億円となる見通しだ。ここ数年の伸びと比較すると伸び幅が小さい。主因は値上げの一服になるのだろう。

▼店頭では前期までの値上げラッシュが響き、客足が遠のいたり消費者の購入量が減ったりしている。相次ぐ値上げの結果、明らかに選別消費の傾向を強めている。消費者は食品や日用品を中心に生活防衛意識を強めているのであろう、肉類なら牛肉よりも豚肉や鶏肉に需要がシフトしている。100円ショップの値頃感ある雑貨は伸びが良いようだ。約8割の小売業で値上げがペースダウンし、需要を喚起しようと一部で値下げする動きも見える。

▼セブンーイレブン・ジャパンは3月の既存店売上高が2年1カ月ぶりに前年割れした。来店客が減り、入れたてコーヒーの値上げなどの増収効果で補えなかったようだ。一方で、訪日客向けや高額消費は堅調だ。円安の影響が一定程度続き、今期の免税売上高は大幅に伸びている。国内の若年富裕層の購買も活発のようだ。株高も追い風となり、バッグや宝飾品など高級ブランドの販売が好調で、百貨店の事業利益は高水準を見込んでいる。

▼総務省の家計調査によれば2月の実質消費支出(2人以上世帯)は前年同月比0.5%減と12カ月連続で前年割れした。名目の消費は2.8%増えており、物価高が実質の消費を押し下げる構図だ。足元では輸入物価が再び上昇に転じた。インフレが再燃すれば実質賃金のプラス転換が遅れ、消費の落ち込みが続く懸念がある。政府による電気・ガス代の負担軽減策も5月分で終わるので、物価影響を考慮した実質賃金が上昇に転じるかが焦点になりそうだ。

2024/04/19