新型コロナウイルス禍など無かった2019年は、改元が行われたお祝いで5月1日が祝日となり、土日も良い具合に繋がって10連休になった。その後はコロナ禍の影響でゴールデンウィークどころではなかった人も多かったかも知れない。その昔、このゴールデンウィークは「大型連休」とか「黄金週間」と呼ばれた。それは、5月3日から5日の3日間のことを指したのだが、日本映画界の造語と言われている。1951年のこの時期に上映された松竹映画『自由学校』が、正月やお盆の時期より興行成績が良かったからとの事で、ラジオ放送などのゴールデンアワーをもじったもののようだ。

▼だから、NHKや一部の民放、新聞などは、映画業界用語であったことから「（春の）大型連休」という表現で統一しているらしい。また、そうする理由は外にもあるらしいが、休暇が取れない人からの「何がゴールデンだ」との抗議もあるからとも言われている。小売業は、この期間の連休は取りづらい。新入社員が入社後、学生時代の仲間と就労の差を痛感するのもこの時期になる。学生時代の仲間たちが楽しくレジャーに興じる姿を横目で見て、最初の転職を考えるきっかけが生まれるとのデータがあるほどだ。

▼ただ、自分で自分の道を納得して決める（選択する）ことが大事なので、人事を担当していた時に、「どの道を選んでも、良い時もあれば辛い時もある。嫌だから辞めるのではなく、自分にとって、何が最良なのかを考え、選び、進んだ方がよい」と話し、「自分だけではなく、自分のまわりの人や社会を良くすることを目指し歩んでいけると人生は開けてくる」と諭した記憶がいつもこの時期は頭をもたげる。30年も前のことで、いま思うと「人生が開ける」なんて言葉、当時の新入社員にも響かなかったのだと思う。

▼最近では、「配属ガチャ」の結果に悩む人も少なくないらしい。これも、納得のいかない配属を通知された場合でも、先ずはそこで成果を上げることに力を注いだ方が得策のはずである。その配属には会社側の意図があるからだ。会社は、個人の能力やポテンシャルなどをもとに、これまでの実績から最適と思われる配置をしている。従って、効果的な配属になる確率は会社側の配属の方が高い。希望が通らなかったから、すぐに仕事を変えるという行動の方がリスクが高い。実際、目の前の仕事に主体的に取り組む過程でキャリアが形成され、新たなやりたいことが見えてくるものだ。それが本人の理想に近づく早道と思うのだが、これも理解され難い時代なのかも知れない。

2024/04/29